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POSTED/2022.02.13

怪獣充電:ユーザー数2.5億超のバッテリーシェアリング企業の成長戦略とは?

 36Kr Japan@中国NO.1テック・スタートアップ専門メディア on Twitter: "こちらも怪獣充電上場に伴う、シェアバッテリーの「三電一獣」4社の分析記事ですが、その中でiResearchのモバイルバッテリー業界地図は役立ちそうです。ご参考まで。(山谷特別解説員)  杀不死的 ...

 

2021年4月1日夜、モバイルバッテリーのシェアリングサービスを展開する「怪獣充電(Energy Monster)」がナスダックに上場した。銘柄コードは「EM」。上場初日の始値は17.64%増の10米ドルで始まり、時価総額は27億米ドル(約2989億円)に達した。

目論見書によると、怪獣充電は2020年に34.4%のシェアを獲得し、中国では業界1位となっている。また機関投資家にも豪華な顔ぶれが揃っている。 具体的には、議決権を持つ経営陣に加えて、アリババ(阿里巴巴)が16.5%の株式を保有し筆頭株主となる。 このほか、高瓴資本(Hillhouse Capital)が11.7%、 順為資本(Shunwei Capital)が8.8%、SoftBank Ventures Asiaが7.7%、シャオミ(小米科技)が7.5%を保有している。

中国のモバイルバッテリーシェアリングのユーザーは2019年に3億500万人に達しており、2020年には4億800万人に拡大するという。

ある投資家によれば、ソフトバンクグループが怪獣充電に投資した大きな理由は、バッテリーシェアリング業界は収益化が十分見込める業界だからだという。

 

現在、モバイルバッテリーシェアリング分野には、怪獣充電のほか「小電(XiaoDian)」、「街電(JieDian)」、「来電(LaiDian)」がある。この業界の4強構造がソフトバンクグループの参入により崩れるか否か、今後も注目する必要がある。

 

巨大な市場や中国特有の制度や文化での独自のエコシステムの中には、史上類を見ない速度で急成長を遂げるスタートアップが多く存在しています。

「怪獣充電」は、そんな中国経済の中において急激な成長を掴んだスタートアップの一つです。

モバイルバッテリーのシェアリングサービスという競争の激しい業界において怪獣充電が一定の成功を収めることができた理由はどのようなものなのでしょうか。

怪獣充電の基本的な説明の後、その成長の背景について考察していきたいと思います。

◆怪獣充電 (Energy Monster)

本拠地: 北京
設立年: 2017年
HP  : https://www.enmonster.com/

怪獣充電(Energy Monster)は、中国において2億5000万人を超える登録ユーザー数を誇るモバイルバッテリーシェアリング事業を展開する企業です。

怪獣充電は、中国全土に設置した充電スポット(POI)に以下の画像のような機器を設置しています。

怪獣充電のユーザーは、QRコードを利用して怪獣充電の充電スポットでモバイルバッテリーを借り、使用した後は他の充電スポットに返却することができます。

ユーザーは全国に設置された怪獣充電の充電スポットを利用し、「好きな時に好きな場所で借り、好きな時に好きな場所で返却する」体験をすることができます。

怪獣充電の成長戦略

現在はユーザー数において中国のバッテリーシェアリング業界のトップに立つ怪獣充電ですが、その業界では競争が苛烈を極めています。

中国のバッテリーシェアリング業界においては、4つの企業によって寡占状態が形成されています。

市場占有率は、それぞれ

怪獣充電(EM, 2017年設立) :34%
小電(Xiaodian, 2016年設立) :22%
街電(Jiedian, 2015年設立) :17%
来電(Laidian, 2014年設立) :10%
その他シェアリング企業 :17%

となっており、業界の上位4社はまとめて「三電一獣」と呼ばれています。

※三電…小電、街電、来電 一獣…怪獣充電

「三電一獣」の中でも怪獣充電の勢いはすさまじく、2017年の設立から4年あまりで業界のトップに立ち、今年4月には業界初となる上場(NASDAQ)を果たしました。

では、「三電一獣」の中では最も後発にあたる怪獣充電が、競争の激しいバッテリーシェアリング業界において一定の成功を収めることができた要因は何なのでしょうか。

怪獣充電は4月にNASDAQにIPOした際に公表した目論見書の中で、自社の強みを次のように分析しています。

・広範なPOI(ここでは充電スポットのこと)の設置によるネットワーク効果
・データの活用による効率的なPOIの管理と選定
・高機能なモバイルバッテリーデバイスの開発
・他企業とのコラボレーションによるブランドイメージの強化
・Uber, 美団で前職を経験した共同創業者を筆頭とする経験豊富なマネジメントチーム

その上で、怪獣充電は成長のために以下のような戦略を採っているといいます。

・既存・新規のカテゴリーのPOIの拡大
・POI設置先との提携の強化とその拡大
・ブランド力の強化
・戦略的な提携や投資機会の追求

繰り返しになりますが、モバイルバッテリーのシェアリングサービスは競争の激しい業界です。

さらにスマートフォンの普及に伴って常にユーザーからの十分な需要が見込める一方で、それは業界内においてブランディングの効果が発揮しにくいということでもあります。

既に競争によって各社のサービスの価格や性能に差をつけにくい状態にあるバッテリーシェアリング市場において、スマートフォンを充電したいという需要を持つ顧客は、どの会社からバッテリーをレンタルするかということよりも現在位置からの充電スポットへの近さを重視するだろうからです。

そのように考えると、やはり怪獣充電の短期間での急成長の原因は、より多くのユーザーにリーチするための「POIの拡大戦略」の巧みさにあったのではないでしょうか。

怪獣充電は、市場シェア獲得のためのPOI拡大競争の中において

・より多くのターゲットにリーチできる場所に充電スポットを設置し、
・協力企業とのシナジーを重視する

戦略を採用しています。

怪獣充電は初期より「より多くのターゲットにリーチできる」POIを精密に選定し、レストランや観光スポットだけでなく公共交通機関のハブや病院などにまでPOIを拡大してきたそうです。

これは競合企業がマーケティングや広告に力を入れ、POIにおいては飲食店や観光スポットを主な対象としてきたことを考えると、異質な戦略であったことが伺えます。

さらに、怪獣充電は充電スポットを設置する際に協力企業とのシナジーを重視しています。

例えば、怪獣充電はレストランやショッピングモールに訪れる客をターゲットにモバイルバッテリーのシェアリングサービスを展開することができます。

一方でレストランやショッピングモールは怪獣充電と協働することによって、

・充電スポットを目的に立ち寄る顧客の獲得
・怪獣充電から顧客の行動データの獲得

などのメリットを享受することができます。

怪獣充電はこれらの協力企業にとってのメリットの最大化のため、充電スポットの設置場所について協力企業と議論し、例えば充電スポットを目当てに訪れた客がショッピングモールの中を巡ることができるよう、店の中での充電スポットの設置場所について丁寧に検討するなどさえしているそうです。

怪獣充電の今後

この記事では、設立から5年を経ずして数億人のユーザーとNASDAQへの上場を手にした怪獣充電について紹介しました。

しかし、現在業界のトップに君臨する怪獣充電にも、競争の激しいバッテリーシェアリングの中では常に兆戦に晒されています。

例えば、今年4月業界3番手である街電は大手モバイルバッテリーシェアリング企業である搜电との合併を発表し、POIの数においては怪獣充電を抜いて首位に立ちました。現在、怪獣充電が約70万か所のPOIを保有しているのに対して、街電と搜电を合わせたPOIの数は100万を超えます

また、食品デリバリー大手美団(Meituan)は昨年モバイルバッテリーシェアリング業界に参入し、その影響力を生かしてシェアを急拡大しています。

4月にNASDAQに上場した怪獣充電は、世界的な経済活動の再開に伴ってその業績を進展させ、第二四半期(4~6月)では前年比で売上高は50%以上の増加を記録しました。

勢いに乗る怪獣充電が、競争の激しい業界において今後もトップシェアを継続し続けることができるのか、その動向に注目していきたいと思います。

 

 

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